講座「アンドレ・ジョリヴェをめぐって」開催報告

日仏現代音楽協会の2013年最後の企画「アンドレ・ジョリヴェをめぐって」は、年の瀬迫る12月22日、三軒茶屋のスタジオKENにて催されました。

講師を務めるのは、作曲家の実娘でアンドレ・ジョリヴェ協会の代表でもあるクリスティーヌ・ジョリヴェ女史と、日仏現代音楽協会会員でピアニストの石井佑輔さん。石井さんはパリ国立高等音楽院、ドイツのアンサンブル・モデルンアカデミーなどで研鑽を積まれ、2010年にはオルレアン国際21世紀ピアノコンクールでジョリヴェ賞を受賞されており、その演奏はクリスティーヌ女史からも高く評価されています。

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会はまずクリスティーヌさんのお話から始まりました。石井さんとの出会い(クリスティーヌさんは前述のオルレアン国際ピアノコンクールの審査員をされていました)と、今回の来日にいたる経緯について。また作曲家が世を去ったあと、遺された仕事のアーカイブ作りに深くたずさわることで、父としてのジョリヴェだけでなく、アーティストとしてのジョリヴェを再発見したこと。
バイオグラフィーのような単なる記録の羅列ではなく、ジョリヴェという人間を知ってほしいというクリスティーヌさんの思いから、今回の講座では1960年代に撮影された、ふたつのジョリヴェのインタビューが上映されました。これはフランス国営放送のアーカイヴである貴重な記録を、今回の企画のために特別にお持ちいただいたものです。

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ひとつ目のインタビューはジョリヴェの自宅で撮影されたもので、彼の創作がどのようにして行われているか、また作曲家の生活についてさまざまな話が展開されます。ジョリヴェはまず、ベートーヴェンやショパンに代表されるようなロマンティックに装飾された作曲家像がもたらした弊害を指摘して、作曲家のもっとも大切な資質は、すぐれた「内的な聴覚 l’oreille interne」を持つことだ強調します。作曲家の耳は外部からもたらされた音を分析し、内的な聴覚によってそれらを音楽的アイディアと総括することができるのだと。

現代の作曲家がおかれている困難な生活状況について語られたあと、話題はジョリヴェの代表作のひとつであるピアノのための「マナ」に移ります。この6つの小品からなる曲集は、エドガー・ヴァレーズがヨーロッパを去る折に残していったオブジェ―6つの「慣れ親しんだ偶像達」―に触発されて作曲されたもので、ジョリヴェはこの作品を「自分の音響的、秘教的な関心を完全に表現した初めての作品」と評しています。

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映像の中で「マナ」の一部が流れる部分では、石井さんがその場で演奏を披露してくださいました。ジョリヴェの語る「静寂に対する人間の原始的な感情を再発見すること」という曲のモットーは、石井さんのピンと張りつめた、密度の高い演奏の中にもはっきりと鳴り響いていました。

休憩を挟んでの第二部では、つづけて2本目のインタビュー映像が上映されました。こちらはパリ音楽院でのジョリヴェの授業風景とその後のインタビューを収めたもので、学生たちが持参した自作曲の楽譜に対し、ジョリヴェが意見を述べる様子や(ここでは主に楽器法について)、学生の個性を重んじる指導法、作曲家にとっての初演や録音の大切さなど、いずれも興味深い内容が語られています。また内容と合わせて印象に残ったのは、スーツ姿のジョリヴェと、同じくきちんとネクタイを締めた学生たちの姿でした。今のパリ音楽院で同じインタビューが行われたとしても、学生たちは決してスーツなど着ていないでしょうから・・。

インタビュー上映のあとは、再びクリスティーヌさんが登場してジョリヴェの来日について、貴重な写真やポスター等を交えてご紹介くださいました。1959, 70年の2度の来日は、自らタクトをとったオーケストラの演奏会や自作についての講演会など、いずれも充実した滞在であったようです。講演で行われた座談会の写真では、当時の日本の作曲家たち、別宮貞雄、柴田南雄、松平頼則、ジョリヴェの弟子である宍戸睦郎などの姿も見られます。

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  これらの資料は会場にも展示され、休憩時間には多くの方々が熱心にご覧になっていました。コンサートや講演の合間には歌舞伎や能も鑑賞したそうで、日本での滞在を満喫している様子がうかがえます。日光に足を伸ばした際に撮られた浴衣を着て微笑むジョリヴェの写真からは、彼の魅力的な人柄がそのままに伝わってきます。

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  第2部の後半では、20世紀前半のフランス音楽の展開に大きな影響を与えた芸術サークル「若きフランス Jeune France」の盟友であるオリヴィエ・メシアンとジョリヴェの作品を比較するという意欲的な試みが、石井さんのピアノと飯島諒さんのフルートの演奏を交えながら行われました。取り上げられたそれぞれの作品の抜粋からは、互いに影響を受けつつも、自らの個性を模索するふたりの作曲家の姿が直に感じられるようで、非常に興味深いひとときでした。

ジョリヴェの人と作品をめぐる今回の講演は、最後にジョリヴェの作品の抜粋を飯島さん(「5つの呪文」)、石井さん(「マナ」)がそれぞれ演奏されて締めくくりとなりました。
メシアンやブーレーズなどの作曲家に比べると、大々的に取り上げられることがやや少ないジョリヴェの作品ですが、お二人の素晴らしい演奏を聴きながら、その音楽には今の時代にも伝わるたしかな力があることを改めて感じた一日でした。
作曲家アンドレ・ジョリヴェの貴重なエピソードと資料を多数提供してくださったクリスティーヌ・ジョリヴェさん、演奏を披露してくださったフルートの飯島諒さん、そして企画の構成から通訳・演奏にと多大なご尽力をいただいた、ピアニストの石井佑輔さんに心より御礼申し上げます。
(事務局台信 記)

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