第4回日仏指揮法講座(2018年7月21日・22日)開催のお知らせ

フランスにおける伝統的な音楽教育の理念である “musicien complet” (完全なる音楽家)の育成を目指す、日仏現代音楽協会による指揮法講座、約3年ぶりの開講が決定いたしました。指揮法の実際を学ぶだけではなく、指揮者に必要な能力や音楽の読解力を深めるため、講座の内容は様々な難易度やスタイルのオーケストラ作品の指揮法実技に、スコア・リーディングと楽曲分析を加えた3つの科目からなっております。今回は日仏現代音楽協会主催に相応しく、フランス音楽を一層充実させた課題リストを用意致しました。

講座の対象は未経験の方から大学等で指揮法を学んでいる方、あるいは演奏の現場で指揮活動をされている方まで、幅広い受講生のレヴェルに対応いたします。一流の講師とプロの演奏家たちのもとで実践的な指揮法を学ぶ絶好の機会、ぜひふるってご参加ください。
講師
阿部加奈子
夏田昌和

伴奏ピアニスト
石井佑輔
大須賀かおり

1. 指揮法実技

以下の課題曲の中から講習生各自が2~3曲程度の楽曲もしくは楽章を選択し、ピアノ連弾による演奏を指揮して頂きます。(課題曲の選択に迷われた場合などは、お気軽に事務局までご相談ください。講師自身がメール等でご相談に乗ります。)

*課題曲(下記より受講者が選択)*7月9日の時点で一部変更となりました
・ハイドン 交響曲第101番「時計」より1〜3楽章
・モーツァルト 歌劇「ドン・ジョバンニ」及び「魔笛」序曲
・シューベルト 交響曲「未完成」
・メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」
・シューマン 交響曲第2番より 第1楽章
・ベルリオーズ 「幻想交響曲」より第1楽章・フィナーレ
・フォーレ 「ペレアスとメリザンド」組曲より「前奏曲」
・ドビュッシー 「海」より「海の夜明けから正午まで」・「波の戯れ」
・ラヴェル 「マ・メール・ロワ」組曲 *初級者推奨

2. スコア・リーディング
ご自分が指揮法講座で取り上げる選択課題曲の一部を、(基本的にピアノで)演奏していただきます。スコア全体のピアノ演奏が難しい場合、任意のパートやセクションのみをピアノで弾くか、もしくは声に出して歌われるのでも構いません。(演奏箇所の選択に迷われた場合などは、お気軽に事務局までご相談ください。)
 
3. 楽曲分析
課題曲中から以下のものを、講師の先導で分析していきます。作曲学的な見地からの分析に加え、指揮という演奏行為に即した視点からも楽曲を捉えていくことを目指します。

ハイドン 交響曲第101番「時計」
ラヴェル 「マ・メール・ロワ」より「美女と野獣」もしくは「妖精の園」
ベルリオーズ 「幻想交響曲」よりフィナーレ「
ドビュッシー 「海」より「海の夜明けから正午まで」

日程
7月21日(土)
14:00~16:00 スコア・リーディング(担当:夏田)
16:00~18:00 楽曲分析(担当:夏田)
18:00~22:00 指揮法実技
7月22日(日)
13:00-19:00 指揮法実技

※21日に参加できない受講生の方で、22日に指揮法実技とともにスコア・リーディングの受講を希望する方は、事前に事務局までご相談ください。

会場
スタジオ ピオティータ (京王新宿線「桜上水」、井の頭線「西永福町」より徒歩)
東京都杉並区下高井戸4-22-34  TEL 03-5316-7161

対象
受講生(定員最大10名)
– 指揮法を既に学んでいる方
– 合唱、アンサンブル、吹奏楽、オーケストラなどを対象にした指揮活動を行っている方、またそれらの活動を目指している方
– 音楽大学などで音楽の専門教育を受け、基礎的な音楽に関する知識は身につけているが、指揮法の勉強は未経験の方
-フランス式の指揮者教育を体験したい方や、将来的にこの分野で留学を考えている方
 
聴講生(定員最大20名)
事前に事務局までお申し込みいただければ、専門的な知識の有無に関わらず、どなたでも聴講ができます(各日とも講習の妨げとならない範囲で会場への出入りは自由です)。ただし、受講生多数の場合はお断りさせていただく場合がございますので、予めご了承ください。

参加費用
・受講生 
 28,000円 (日程や受講内容において部分参加をご希望の場合、別途お問い合わせください。)
・聴講生 (要予約、ただし人数に余裕がある場合は当日入場も可)
 各日2,000円(2日間参加の場合は3,000円)
・日仏現代音楽協会会員は受講2,000円引き、聴講500円引き。


お申し込み・お問い合わせ :日仏現代音楽協会事務局  
nichifutsugenon@yahoo.co.jp    080-2257-7595
※受講生としてお申し込みの方は、お名前、ご連絡先(メールアドレス及びお電話番号)と併せて、
-音楽学習歴もしくは音楽活動歴(簡潔なもので結構です)
-指揮法を学んだ経験の有無 (経験ありの場合にはその内容や期間について)
をご記入ください(過去の「日仏指揮法講座」に参加された方は、活動歴や経験の記入は不要です)。
 

-6月末を目安に、ご自身が選択された課題曲を事務局にお知らせ下さい。

講師プロフィール

 
阿部加奈子
             
パリとハーグに拠点を置く指揮者、ピアニスト。 大阪に生まれ、2歳より音楽教育者・合唱指揮者の母親から ピアノの手ほどきを受ける。 相愛音楽大学附属子供の音楽教室ピアノ科、東京藝術大学音楽 学部付属音楽高校、東京藝術大学音楽学部作曲科を経て、パリ 国立高等音楽院に入学。6つのクラスで学んだ後(和声、対位法、フーガ、器楽伴奏、オーケストレーション、楽曲分析)、 2002年同音楽院指揮科に日本人として初めて入学。在学中より 様々なオーケストラ、アンサンブルに客演。

現代音楽に精通し、これまでにEnsemble L’Itinéraire, Ensemble 2e2m, Smash Ensemble, Ensemble Zellig、アンサンブル室町 等数多くの現代音楽アンサンブルを指揮する。ストラスブール・ムジカ現代音楽祭、ヴェネツィア・ビエンナーレ現代音楽祭、ブリュッセル・アルスムジカ音楽祭などでの公演他、100作を超える新作初演の指揮・演奏・録音を西ヨーロッパを中心とする世界各地で行っている。2002年に「武満徹ピアノ作品集」のCDをHarmonia Mundi社よりリリースしたのを皮切りにこれまでに指揮・ピアノの両方で5枚のCDを録音。そのうちの1枚は Prix des lycéens 賞にノミネートされた。更に2005年にはフランス人若手作曲家らと共に現代音楽アンサンブル «ミュルチラテラル»を創設し、2014年まで同アンサンブルの音楽監督を務めている。2012年に同アンサンブルとフランス国立放送局で録音したセバスチャン・リヴァス作曲のオペラ「幻覚の夜」は、Prix Italiaを受賞した。オペラ作品にも造詣が深く、パリ管弦楽団合唱団の練習ピアニストやオペラ公演のコーチ等を務めた後、2007~2008年にかけてモンペリエ国立歌劇場並びにモンペリエ国立管弦楽団の副指揮者として数多くの交響曲・オペラ公演を手がけ、Jerzy Semkow, Lawrence Foster, Enrique Mazzola, Alain Altinoglu, Friedemann Layer等の指揮者及びRené Koering, Jean-Paul Scarpitta,Moshe Leiser等の演出家と協力し、公演を成功に導いた。2009年12月にはモンペリエ国立歌劇場にて「椿姫」を指揮。2009年シャトレ座での「魔笛」公演、2010年ストラスブール国立歌劇場での「マクベス」公演、チューリッヒ歌劇場での「ジェズアルド」世界初演の副指揮者も務めた。2014年夏にはファビオ・ルイージの副指揮者としてイタリアのマルチナ・フランカ音楽祭にてアルフレッド・カゼッラ作曲のオペラ「蛇女」の公演に携わった。レパートリーはバロックの弾き振りから現代作品まで実に幅広 い。現在までにモンペリエ国立管弦楽団、リール国立管弦楽 団、ニース交響楽団、ロレーヌ国立管弦楽団、バスク交響楽団、オーベルニュ室内管弦楽団、アモル交響楽団(韓国)、ルーマニア国立放送管弦楽団、ヤナーチェク・フィルハーモニック管弦楽団(チェコ)、パドゥルー管弦楽団、イル・ド・フランス国立管弦楽団、ヴェトナム国立交響楽団、東京シティーフィルハーモニック管弦楽団、群馬交響楽団、大阪交響楽団等のオーケストラを指揮し、またEmmanuelle Bertrand, Henri Demarquette, Cyprien Katsaris, Eric Aubier, David Guerrier, 広瀬悦子、萩原麻未等のソリストと共演している。
2011年3月11日の東日本大震災勃発の2日後に「パリ東日本大震 災チャリティーコンサート実行委員会」を創設。パリ国立高等 音楽院、パリ日本文化会館、パリ市内の教会や市役所などの協 力のもと数々のチャリティーコンサートを企画。それら一連の コンサートの締めくくりとし、2011年4月10日ユネスコ本会議 場にて有志によるオーケストラコンサートを開催。実行委員長 としてジャポネード・オーケストラ並びにジャポネード合唱団 を指揮した。翌2012年3月11日には震災1年後の「復興メモリ アルコンサート」の指揮者として、佐渡裕と共に再びユネスコ の舞台に立った。
教育活動にも関心が高く、2014年にジョクジャカルタを拠点とするインドネシア初のユースオーケストラ、インドネシア・ユース交響楽団を設立、音楽監督に就任する。また、子供達を中心とする若い世代の聴衆が質の高い現代音楽の演奏を気軽に楽しめる空間づくりを目指して、2015年にパリでアンサンブル・ムジカ・ユニヴェルサリスを結成、芸術監督を務める。
近年は作曲活動も再開し、アンサンブル・ポリクロミーからの委嘱で、今夏より遠藤周作の小説「沈黙」をベースとしたフランス語のオペラ「Padre」を作曲予定。
2016年より東京アンサンナブル・ファクトリーのミュージックパートナーも務めている。

夏田昌和

 1968年東京生まれの作曲家、指揮者。東京芸術大学及び大学院にて永冨正之、野田暉行、近藤譲の各氏に作曲、アンリエット・ピュイグ=ロジェ女史にスコアリーディング及び伴奏法を学ぶ一方、洗足学園大学指揮研究所にて秋山和慶氏他に指揮法を師事する。’91年東京芸術大学音楽学部作曲科を首席で卒業、’93年同大学大学院修了後に渡仏。パリ国立高等音楽院にてジェラール・グリゼイに作曲、ジャン・セバスティャン・ベローに指揮を学ぶ。’97年に同音楽院作曲科を審査員全員一致による首席一等賞及び音楽院卒業生協会によるEbersold賞を得て卒業し、帰国。
 作曲分野においては、出光音楽賞や芥川作曲賞、Goffredo Petrassi 国際作曲コンクール審査員特別表彰をはじめとする様々な賞を国内外にて受賞。アンサンブル・アンテルコンタンポランやフランス文化省、サントリー音楽財団をはじめとするより数多くの財団や演奏団体、演奏家より作品委嘱を受けている。作品はISCM(横浜)やザグレブ・ミュージック・ビエンナーレ、メルツ・ムジーク(ベルリン)、マンカ音楽祭(ニース)、ミュージック・フロム・ジャパン(ニューヨーク)、アヴァンティ夏期音楽祭(フィンランド/ポルヴォ)、大邱国際音楽祭(韓国)、武生国際音楽祭(日本)、プレザンス(パリ)などにおいて紹介され、オランダ放送交響楽団、ベルリン交響楽団、新日本フィルハーモニー、東京交響楽団、Ensemble2e2m、Ensemble Intercontemporain、Ensemble Recherche、Ensemble Court-Circuit、Juilliard Percussion Ensemble、東京シンフォニエッタをはじめとする著名なオーケストラやアンサンブル、クロード・ドゥラングル(Sax.)やバリー・ウェッブ(Trb.)、セドリック・ティベルギアン(Pn.)などの優れたソリストによって、世界各地で幅広く演奏されている。2013年12月には東京オペラシティ・リサイタルホールにおいて「夏田昌和個展」を開催、3曲の世界初演を含む10作品が一挙に演奏され、高い評価を得た。またジパング・プロダクツよりCD「先史時代の歌 ~夏田昌和作品集~」が発売されている。
 指揮者としては、Fundaçao Oriente 国際指揮者コンクール(ポルトガル)に2回連続で第3位入賞を果たした他、これまでに多くの市民オーケストラへの客演や音大の学生オーケストラの指導に取り組み、また若い世代の演奏家の育成にも貢献してきた。特に現代音楽演奏分野においては、アンサンブル・コンテンポラリーαやアンサンブル・ヴィーヴォ、アール・レスピラン、アンサンブル室町などのアンサンブル団体を指揮して数多くの邦人新作の世界初演や海外現代作品の紹介に携わり、その数は現在までに合わせて130曲を超えている。なかでもグリゼイの<Vortex Temporum I~III>や<境界を超えるための4つの歌>、ライヒの<Tehillim>といった大作の日本初演は特筆に値しよう。海外においてもAvanti Ensemble(フィンランド)やEnsemble Zellig(フランス)で自作を指揮し、演奏家と聴衆の双方より好評をもって迎えられた。指揮者として演奏に参加した「昼・南聡作品集」は第50回(2012年度)レコード・アカデミー賞(現代曲部門)を受賞している。
 1998年より約12年の間、首都圏の様々な芸術・音楽大学で作曲、和声、対位法、指揮、スコアリーディング、楽曲分析、ソルフェージュ、室内楽、現代音楽演奏法などの指導にあたり、多くの優秀な門下生を育ててきた。
http://imusika.com/musicians/natsuda.html
 

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